お元気ですか?


  暑中お見舞い申し上げます。

  酷暑の夏ですが
  いかがお過ごしでしょう。
  どうかお体を大切に
  お健やかな日々で
  ありますように。

  
  Have a pleasant summer!

     2025.7 ginmuru-meru


天の川 楫の音聞こゆ


今夜、晴れるかな?
くもり空を見上げた、七月七日。


夕星(ゆふづつ)も
通(かよ)ふ天道(あまぢ)を
いつまでか
仰(あふ)ぎて待たむ
月人壮士(つきひとをとこ)


柿本人麻呂歌集(万葉集 10巻2010番 秋 雑歌・七夕)


年に一度だけ天の川を渡り、
織り姫のもとへと向かう彦星。
月人壮士とは、半月の舟の
渡し守……川岸のオリオンを
重ねてイメージすれば面白い。

夜空に浮かぶ半月の舟を
待ちわびる七夕の夜……
織り姫は、天の川の水に
裳裾を濡らし、月の舟の
とも綱をその手で取るという。
今年もまた天上の約束どおり
ふたりは再会できるだろうか。


天の川
楫(かぢ)の音聞こゆ
彦星(ひこほし)と
織女(たなばたつめ)と
今夜(こよひ)逢ふらしも


柿本人麻呂歌集(万葉集 10巻2029番 秋 雑歌・七夕)


宵闇にぽつり、としずくが落ちてきた。
七夕の夜には、よく雨が降る。


この夕(ゆふへ)
降りくる雨は
彦星(ひこほし)の
早(はや)漕(こ)ぐ舟の
櫂(かい)の散(ち)りかも


詠み人知らず(万葉集 10巻2052番 秋 雑歌・七夕)


もともと旧暦の七夕は秋の行事で、
星のきれいな半月の夜を舞台とした。
それゆえ織り姫は秋の月や萩の花と
結びつけられ、万葉集などに登場する。
(新暦以降の、梅雨明け頃の夜空とは
かなり異なるイメージだったのかも)


秋萩に
にほへる我が裳(も)
濡れぬとも
君が御船(みふね)の
綱(つな)し取りてば


阿倍継麻呂( 万葉集 15巻3656番 遣新羅使歌・七夕・女歌・宴席 )


♪ 萩の葉に銀の星粒(made with Suno)


(原詩 レモン水「萩の花に金の半月」より)
( 2024.11.17 楽曲作成 Suno )
( 2024.11.21 楽曲を一部編集)


萩の花に金の半月 – レモン水


いばらのかげ

いばらのかげに、
ひもじさ、さむさ。
花さくかげに、
白金(しろがね)、黄金(こがね)。

ののさま どちら?
いばらのかげで、
ねんねを 抱いて、
花つんで ござれ。

北原白秋訳 まざあ・ぐうす (aozora.gr.jp)
北原白秋 お月さまいくつ (aozora.gr.jp)


この鮮やかな黄薔薇の名は
「マルコポーロ」

「黄金の国ジパング」を記した
「東方見聞録」の著者にちなむ
花の名だという。

海をわたり砂漠を旅し、
国境をこえての旅路の詳細を
口述した彼の見聞録は、後世に
大きな影響を及ぼした。が、
生前は世間から半信半疑の扱い
だったとも伝わる……そんな
中世の大冒険家で豪商だった
マルコ・ポーロ。その名を頂く
「黄金の薔薇」が咲き香る姿は、
実の母を若くして喪い、
故郷をはなれ遠く旅立った
彼の波乱にみちた人生とともに、
ふとマザーグースの歌を
思い起こさせる。

いばらのかげに、
ひもじさ、さむさ。
花さくかげに、
白金(しろがね)黄金(こがね)……


マルコ・ポーロ – Wikipedia