美知乃倍乃
宇万良能宇礼尓
波保麻米乃
可良麻流伎美乎
波可礼加由加牟
道の辺(へ)の、
茨(うまら)のうれに、
延(は)ほ豆(まめ)の、
からまる君(きみ)を、
はかれか行かむ
丈部鳥(はせつかべのとり)
万葉集 第二十巻:4352
たのしい万葉集(4352): 道の辺の茨のうれに延ほ豆の (art-tags.net)
妻との別れを惜しむ防人の歌
( 2024.11.10 イラスト作成 Bing Image Creator )
からまる君を – レモン水
ときどきクリア希求
美知乃倍乃
宇万良能宇礼尓
波保麻米乃
可良麻流伎美乎
波可礼加由加牟
道の辺(へ)の、
茨(うまら)のうれに、
延(は)ほ豆(まめ)の、
からまる君(きみ)を、
はかれか行かむ
丈部鳥(はせつかべのとり)
万葉集 第二十巻:4352
たのしい万葉集(4352): 道の辺の茨のうれに延ほ豆の (art-tags.net)
妻との別れを惜しむ防人の歌
( 2024.11.10 イラスト作成 Bing Image Creator )
からまる君を – レモン水
金のひかり溶ける
すこし傾いた半月
冷たい夜を温める
片割れ求める小舟
花の裳裾をゆらし
星のしずく散らし
月の舟の綱をとる
天の銀の川の乙女
金のひかり溶けて
銀の裳裾はなやぐ
月の舟むすぶ綱に
星のしずく満ちる
萩の花に金の半月
萩の花ゆれる
萩の葉に銀の星粒
萩の葉ゆれる
幻想物語の文法 (ちくま学芸文庫 キ 4-1) | 私市 保彦 |本 | 通販 | Amazon
ふと思い出した本。
光と影の幻想の系譜とでもいうのか……
若い頃に読んで、
鮮烈な印象が残った内容だったはず……
再読したら、
同じように新鮮に感じるのか、
それともネットでもはや見慣れた風景
と思うのか。
( 2019.5.10 Twitter より )
CiNii 図書 – 幻想物語の文法 : 『ギルガメシュ』から『ゲド戦記』へ
図書館で借りて読み直した。
「ユリイカ」連載だった論集なので、
一編ずつがまとまっていて読み易い。
提示された古今東西の物語が面白く、
筆者の縦横無尽な思索の跡をたどり、
人類の長い幻想の旅を垣間見た。
墓標の列のような暗い幻の迷宮も、
名ガイドの理性の灯し火を頼りに、
巡礼めいた心持ちで頁をめくる。
読書の喜びを教えてくれた本。
卒業論文で参考文献として頼りにしたが、
改めて読み直しても新鮮に感じる。
宮澤賢治が描く別離の場面でのふたり、
双子の姿を、古代からの双児神とその
文化英雄的な面影から論じる(という
学生の分際での無謀な試み=夢想)、
その夢想の最初の火種は本書だった。
いまだ同じ夢想の迷路を歩いている。
大きな影響を何十年にもわたり受けた
ことに気づく、静かな存在感。
(まるで沈黙のオジオン様のよう)
近代の幻想文学について、私自身は
宮澤賢治やデ・ラ・メアなど好みの
偏りから、あまり多く読んでいない。
が、神話と文学とを結んだのは本書。
「幻想物語の文法」というレンズは、
レンズの存在を忘れるほどクリアだ。
ゲド戦記3部作についてだけ、保留。
本書が書かれ私が影響を受けた頃には、
3部作で完結した世界だったが、後に
「帰還(テハヌー)」が加わり、
「アースシーの風」で再び完結した。
(そして「ドラゴンフライ」を未読)
フェミニズム思想を織り込んだ独自の
ファンタジー世界が、大きな反響を
呼んだ、と発表当時を記憶しているが、
つい先日のアメリカ大統領選をみれば、
ル・グウィンが描いた分断と荒廃は
まだ続いているのでは?(世界は未完)
(以下は雑感)
ギルガメシュとイシュタルの葛藤は、
粘土板に刻まれてから数千年を経て、
海を渡った大陸でも終わることのない
ドラマを民の前で再演し続けている……
などと斜めに考えれば、
現代の思索に満ちた文学よりいっそ
古代神話の懐は深い?
(ル・グウィン再読の必要あるなぁ)
しなやかに風になびく豆科の花。
公園に自生する野草だと
ずっと思っていたのだが、
しだれ咲く豊かな風情に惹かれて
写真を撮り、画像検索してみたら
かの有名な「萩」だった……
(なぜ今まで知らなかったのか?)
安伎波疑尓 々保敝流和我母 奴礼奴等母 伎美我美布祢能 都奈之等理弖婆
秋萩に
にほへる我が裳
濡れぬとも
君が御船の
綱し取りてば
あきはぎに
にほへるわがも
ぬれぬとも
きみがみふねの
つなしとりてば
阿倍継麻呂
( 万葉集 第15巻 3656番歌 )
七夕仰觀天漢各陳所思作歌三首
遣新羅使、天平8年、年紀、作者:阿倍継麻呂、羈旅、七夕、織女、女歌、宴席、福岡
万葉集 第15巻 3656番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ
秋萩の花のように装った裳が
濡れてしまおうと(かまわない)
貴方の御舟のとも綱を
手にとれるのならば……
秋といへば
空すむ月を
契りおきて
光まちとる
萩の下露
藤原定家
( 拾遺愚草 巻上:花月百首 月 )
和歌データベース
月光に照らされる萩の葉の露。
滝のように枝垂れて光る露は、
秋の天の川をイメージさせる。
「空すむ月を契りおきて」
約束の夜に半月の舟で訪れるという
彦星を待ちわびた織り姫の裳が、
天の川の雫で濡れて光るかのように。
「光まちとる」萩の露の表現には、
「君が御船の綱し取りてば」という
七夕伝説を詠んだ先行作品を踏まえ、
さらに象徴化した月光の美しさが
込められているのではないか。
澄みわたる天地の情景が浮かぶ。
からまる君を – レモン水
人ならば
恨みもせまし
園のはな
枯るればかるる
蝶のこころよ
ひとならは
うらみもせまし
そののはな
かるれはかるる
てふのこころよ
障りなく
遠地をわたす
橋なれば
おち破るてふ(という)
類(たぐひ)だに見ず
おち破る蝶
焚く火だに見ず
さはりなく
とほちをわたす
はしなれは
おちやふるてふ
たくひたにみす
藤原定家
(拾遺愚草 巻上:十題百首)
和歌データベース
人だったなら
恨みたくもなりましょう、
園の花が
枯れたなら己の命も尽きる
蝶よ、そのこころよ。
障りなく無事に
はるかな彼岸へと渡らせる
橋だから、そこから
堕ちる破道の類いは一切
見たことがない。
(堕ち破る蝶=夢虫・火虫=魂を
焚く火などはまるで見えない)
……という意味の歌だろうか?
(我流の解釈なので心もとない)
四季折々の野趣に満ちた自然を
織りこみ、ストイックな美意識で
彼岸への憧憬に至る……そんな
意図から構成された自撰和歌集?
という印象を抱いた(十題百首)
「てふ(蝶)」が、
命の儚さと魂の救済という
イメージを帯びていることは、
定家の表現の鮮やかさであり
大きな魅力だと思う。
拾遺愚草 – Wikipedia