萱草(忘れ草)


(萱草の精が語る……)

「夏の真昼、夕焼け色に咲くのは
今日をわすれないでほしいから。
昨日の涙はわすれましょうよ。
訪れる日暮れに目をとじたなら、
明日も咲いていられるか
わからないけれど」

「明日の夜明けが
若草色にもえたなら、
また会えるかもしれないわ。
もし水面(みなも)にうかぶ
金の毬(まり)をひろえたら、
夢の中で遊べるわ」

「……そんな言い伝えがあるの」

(古人が詠う……)

道しらば
摘みにもゆかむ
住の江の
岸におふてふ
恋忘れ草

 ( 紀貫之 古今和歌集  巻第十四 恋歌四 1111 )


( 2023.11.11 イラスト作成 Bing Image Creator )


カエルが夜になくわけは – レモン水 (ginmuru-meru.com)

住の江の岸に(Bing Image Creator) – レモン水 (ginmuru-meru.com)


十三夜


月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ
わが身一つの 秋にはあらねど

大江千里
( 小倉百人一首23番 『古今集』秋上193 )


白鳥の鷺坂山の松蔭に(Bing Image Creator)

もうすぐ新暦の七夕。
(旧暦の方が風情があると思う)

ハニワくんの時代(古墳時代)にも
天体への信仰や物語はあっただろうけれど、
首長の葬送儀礼の痕跡(壁画や副葬品等)から
推しはかるのみ。

七夕の牽牛織女伝説は、
中国伝来の貴族文化で、
奈良時代末期成立の万葉集に
多くの和歌が残る。

白鳥(しらとり)の
鷺坂山(さぎさかやま)の
松蔭(まつかげ)に
宿(やど)りて行(ゆ)かな
夜(よ)も更(ふ)けゆくを

白鳥 鷺坂山 松影 宿而徃奈 夜毛深徃乎

右柿本朝臣人麻呂之歌集所出
(柿本人麻呂歌集より)
(万葉集 巻9-1687 雑歌 鷺坂作歌一首)

( 2023.7.3 Twitter より )
( 2023.6.20 姫イラスト作成 Bing Image Creator )


白鳥の鷺坂山の松蔭に – レモン水 (ginmuru-meru.com)