住の江の岸に(Bing Image Creator)


道しらば
摘みにもゆかむ
住の江の
岸におふてふ
恋忘れ草

( 紀貫之 古今和歌集 恋・1111 )

住の江の
岸による波
よるさへや
夢の通ひ路
人目よくらむ

( 藤原敏行朝臣 小倉百人一首 18番 古今和歌集 恋・559 )



( 2023.11.11 イラスト作成 Bing Image Creator )


夢の通ひ路 – あかり窓 (memoru-merumo.com)

萱草(忘れ草) – レモン水 (ginmuru-meru.com)

昨日見し恋忘れ貝(Bing Image Creator) – レモン水 (ginmuru-meru.com)


萱草(忘れ草)


(萱草の精が語る……)

「夏の真昼、夕焼け色に咲くのは
今日をわすれないでほしいから。
昨日の涙はわすれましょうよ。
訪れる日暮れに目をとじたなら、
明日も咲いていられるか
わからないけれど」

「明日の夜明けが
若草色にもえたなら、
また会えるかもしれないわ。
もし水面(みなも)にうかぶ
金の毬(まり)をひろえたら、
夢の中で遊べるわ」

「……そんな言い伝えがあるの」

(古人が詠う……)

道しらば
摘みにもゆかむ
住の江の
岸におふてふ
恋忘れ草

 ( 紀貫之 古今和歌集  巻第十四 恋歌四 1111 )


( 2023.11.11 イラスト作成 Bing Image Creator )


カエルが夜になくわけは – レモン水 (ginmuru-meru.com)

住の江の岸に(Bing Image Creator) – レモン水 (ginmuru-meru.com)


十三夜


月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ
わが身一つの 秋にはあらねど

大江千里
( 小倉百人一首23番 『古今集』秋上193 )


白鳥の鷺坂山の松蔭に(Bing Image Creator)

もうすぐ新暦の七夕。
(旧暦の方が風情があると思う)

ハニワくんの時代(古墳時代)にも
天体への信仰や物語はあっただろうけれど、
首長の葬送儀礼の痕跡(壁画や副葬品等)から
推しはかるのみ。

七夕の牽牛織女伝説は、
中国伝来の貴族文化で、
奈良時代末期成立の万葉集に
多くの和歌が残る。

白鳥(しらとり)の
鷺坂山(さぎさかやま)の
松蔭(まつかげ)に
宿(やど)りて行(ゆ)かな
夜(よ)も更(ふ)けゆくを

白鳥 鷺坂山 松影 宿而徃奈 夜毛深徃乎

右柿本朝臣人麻呂之歌集所出
(柿本人麻呂歌集より)
(万葉集 巻9-1687 雑歌 鷺坂作歌一首)

( 2023.7.3 Twitter より )
( 2023.6.20 姫イラスト作成 Bing Image Creator )


白鳥の鷺坂山の松蔭に – レモン水 (ginmuru-meru.com)


水の器(絵 Bing Image Creator)

私は土地の長の娘。
幼い頃から人々に
「水の器」と呼ばれ、
大切に育てられました。

ある雨のふらない夏、
私は白い羽の衣をまとい、
水の神に捧げられました。
水の神が訪れたなら、
甕のお酒でもてなすのです。
私はふるえていました。
神の姿をみて
もどってきた「水の器」は
誰ひとりいなかったから。

三日月の光がおりてきて、
誰かが私を呼びました。

月のようにかがやく
剣をかざし、
私の前に立ったのは、
ひとりのみしらぬ旅人でした。
水の神があらわれ、
いくつもの鎌首をもたげ、
私を呑みこもうとしましたが、
旅人はあざやかな剣さばきで
うねる首をかたはしから
切り落としました。
水の神としてあがめられていたのは、
おそろしいオロチだったのです。

たおれた水の神の尾から、
氷のようにかたく
星の雨をしたたらせる剣が、
ひとふりきらめき、あらわれました。
オロチを退治した旅人は
その剣を手にとり、にっこりしました。
「ケガはないか?ぶじでよかった」
やがて彼は、この地に館を築きあげ
「水の器」を妻にしました。

八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに
八重垣つくる その八重垣を(古事記)

あぢさゐの八重咲くごとく
弥(や)つ代にをいませ我が背子
見つつ偲はむ(万葉集)

(水の器と呼ばれて
今は名も忘れられた娘と、
ふらりふらり各地に足あとを
残した風来坊のお話です)

(引用)
古事記・日本書紀歌
万葉集(4448 橘諸兄)

※ hydrangea(アジサイ=水の器)

( 2023.6.5 Twitter より )
( 2023.6.5 イラスト作成 Bing Image Creator )