水の器という名の
花咲く星の魔法を学びに
遠くから旅してきました。
さて、オアシスでひとやすみ……
( 2021.6.26 Twitter より )
薔薇のつぼみ
“Le vent se lève,
…il faut tenter de vivre”
(Paul Valéry, Le Cimetière marin, 1923)
あまずっぱい……
ムギワラの なえどこで
イチゴが みのりました。
ちいさなころから だっこして
おんぶして、
イチゴちゃんを おもりしてきた
ムギワラにいさん、
たびだつ イチゴちゃんを
なごりおしく みおくります。
「きっと しあわせになるんだよ」
「ええ、にいさんも おげんきで」
(コムギのパンと あかいジャム、
すがたをかえた ふたりが
また であうのは、
すこしあとの おはなしです……)
(2021.3.27 Twitter より)
花の色は
花の色は
うつりにけりな
いたづらに
わが身世にふる
ながめせしまに
(小倉百人一首 9番 小野小町 『古今集』春・113)
くろうさぎのクリスマス
くろうさぎは、おおいそがし。
こんやじゅうに、たくさんのおくりものを
くばらなくては。
さむいきたのくにで、くろうさぎは、
みずうみのこおりのかけらをすくって、
まほうびんにいれました。
「こおりがとけないうちに、はやく
かえってきてね」
うちでまっている、しろうさぎが
そうおねがいしたからです。
「さあ、しごとはおわった」
ゆきのはらにそりをはしらせ、
もりのうちにかえろうとしたとき、
くろうさぎは、こごえたいちわの
つばめをみつけました。
「みなみのくにまで、もうひとっぱしり!」
そりをひくトナカイが、
よぞらにすずのねをひびかせ、
まいあがりました。
とべないつばめをのせて……
やまをこえ、かわをこえ、
さむいきたのくにから
あたたかなみなみのくにまで、
とおくとおくそりはかけて、
ようやくつばめは、なかまのもとへ。
「よかったね、まいごさん」
くろうさぎは、ほっとしました。
でも、はしりつかれたトナカイは
「もううごけないですよぉ」
と、おはなをまっかにして
あせびっしょりです。
「つめたいこおりで、げんきをだして」
くろうさぎは、まほうびんの
こおりのかけらを、トナカイにそっと
さしだしました。
こおりはすぐにとけて、
きれいなみずになりました。
トナカイは、つめたいみずをのんで、
しゃんとたちあがっていいました。
「もうすぐよがあける。はやく
うちにかえりましょう」
ほしがきえてあさひがのぼるころ、
トナカイのそりは、もりにつきました。
「おかえりなさい」
しろうさぎが、まっていました。
「こおりはとけてしまったよ。
すまないが、かわりにこれを」
くろうさぎのてには、いちりんのはな。
「まあ、ひとあしはやい、はるのかおり」
しろうさぎは、にっこり。
「みなみのくにに、よりみちしたよ」
くろうさぎのことばにうなずいて、
しろうさぎは、テーブルのグラスに、
はないちりんをかざりました。
「みずうみのこおりをうかべた
このグラスでふたり、かんぱい
するつもりだったけど」
テーブルには、おいしそうな
あさごはんがならんでいます。
「なんてやさしい、はるのいろ」
みなみのくにや、きたのくに、
ひがしのくにに、にしのくにでも、
とどけられたおくりもののつつみが、
そろそろ、ひらかれているでしょう。
たくさんのえがおをおもいうかべ、
おなかがいっぱいになった
くろうさぎとトナカイは
あくびをしました。
おやすみなさい、みなさん、
よいゆめを……
(2020.12.25 Twitter より)