(1)たそがれの館

学校からもどったら、
まっくらなぼくの部屋の窓から、
かたむいた三日月がのぞきこんでいた。

ののさまどちら ねんねをだいて
いばらのかげで はなつんでござれ

やさしい歌が耳をくすぐる。
だれ?
窓からみおろすと、
金色の三日月をうかべた目で、
首をかしげ、ぼくをみつめてくる黒い子猫。

子猫がほそい声で、ミヤァとあまえるようにないた。
おなかがすいているのかな。
ミルクがほしいのだろうか。
ぼくは子猫の声にさそわれ、おもてに出てみた。
黒いかげがしなやかに通りをすべる。
どこにいくのか、金の三日月をうかべた目が、
ふりかえってぼくを見つめる。
あれ、ついてこい、だって?

どこまでいくのか、黒い子猫。
ぼくをふりかえりながら、
街をぬけ、川をわたり、坂道をのぼって。
いつしかここは、ゆずりの丘。
かたむいた三日月がてらす丘。

ここは、昔々の古墳があった場所。
今では新しい学校が建っている…… はずなのに、
あれ、こんな景色だったっけ?
灯のともる館が一軒。

キーワードは、器

キーワードは、器かなぁ。
聖杯城の、聖杯。
器が足りない、とか
器を届ける、とか。
ねむり姫を救うために器を届ける、とか。
器には猫の足跡がついてる。
器が割れそうになる、あるいは割れる。
器に天の川の聖水を汲む、姫の眠りを覚ます。
姫の不老不死の酒を断って、故郷に帰る。
宝を持ち帰る。

大岩に宴の器を並べる、
器に月光の聖水を汲む、
器に井戸の若水を汲む、
器……
緑……
緑を挿した器を持って、
茅の輪くぐり……
メビウスの輪みたいに、
過去と現在が交差する。
モチーフ並んでるけど、
エピソードがみえない。
なにかぴったりの器を
めぐるエピソード……
あるはず、きっと。

祭殿の器を粉々に割り、
巫女の手をとり館を脱出。
追っ手を逃れ川をくだり、
海原に漕ぎ出す若き武人。

などいう荒っぽい所業で、
本当はさらわれたかった
姫君……とか、かなぁ。
そんな夢をみるネンネ姫。
ハニワくんのキャラでは
まず無さそうな展開だし。
子猫をハニワくんに託す
ほのかな曙光。


(2020.1.5 Twitter より)

あらすじは?

窓から三日月の気配。
不思議な子守歌の声。
ののさまどちら……

工事ですでに
失われてしまった大岩に
幻の器をならべる人影?
黒い子猫にミルク……

失われてしまった大岩。
工事で発掘された古墳の埋葬品。
埋葬品の器や剣などを展示する
博物館。もしくは不思議な館。
真夜中に灯がともる館……

一昨年の秋にTweet したハニワくん、
ひらがな多用、小見出し6章、
見出しひとつにつき、15Tweet 前後の文字数
でお話を書いてた。
一昨年の秋だから、かなりうろ覚え。
原稿用紙にしたら20枚~30枚の内容かな……
ざっくりメモのまま置いてある。

「くろ・くろにくる(仮)」
も、同じような字数?

(1) たそがれの館(猫の足跡の器)
(2) 星座の切符(相撲)
(3) 三日月の舟(異界の館)
(4) ねむり姫(不死の酒を断る)
(5) 金の実(苗木や種、書物をさずかる)
(6) ののさまどちら(暁の古墳、帰還)

前のお話に比べると、起伏が少ない気がする。
文字数は少なめがよいかも。
あるいは小さな危機をつくる。

ハニワくんと異界の姫との淡いロマンスを
ぼくが追体験……黒猫が過去と現在をつなぐ。


(2020.1.5 Twitter より)

月の船

「天の海に 雲の波たち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ」 柿本人麻呂
堅物のハニワくんと異国の姫との物語。

Hey, diddle, diddle-Mother Goose

Hey, diddle, diddle-Mother Goose

  Hey, diddle, diddle,
  The cat and the fiddle,
  The cow jumped over the moon.
  The little dog laughed
  To see such sport,
  And the dish ran away with the spoon.

へい、ぎ~こ、ぎ~こ

 へい、ぎ~こ、ぎ~こ
 ねこさんつまびく バイオリンぎ~こ
 ちちうしおっかさん つきとびこえた
 ざれごとみててさ
 こいぬちゃん きゃわわ わ~ん
 そいでさ おさらとスプーン すたこらさっさ~

(マザーグース Hey,diddle.diddle 拙訳)

(2019.1.3 Twitter より)