翼もつ鳥のように訪れるもの


ルガルバンダ – Wikipedia

アンズー鳥のヒナに
餌を与え巣を飾り、
親鳥の心を掴んで加護を得た、
中東神話の末っ子王子。
隣国との和平の使者たりうる
「脚力と腕力」を親鳥に授かる。
鳥のヒナを飼いならし使役した
古代人の姿を彷彿とさせる。
神鳥を捕る王。

鳩 – Wikipedia
Wikipedia 「鳩」の項より以下引用。

ハトはおおよそ10000年から6000年ほど前の新石器時代に飼育動物化されたと考えられている。(略)
当初は神経質な成鳥にくらべ人に慣れやすく飼いやすいハトの雛を成長させる目的で飼育がはじまり、やがて家禽化していったと考えられている。

中近東では古くより、乾燥した風土でも放し飼いでよく増える性質があるため、ハトのための養殖場(塔のような建造物)もあり、貴重な動物性蛋白源として、一般的に利用されている。鳩の塔(ピジョン・タワー)と呼ばれるこの塔は、高さは10mから15mほどで、場所によってスタイルが違う。

(同上リンクより引用終了)


古代から現代に続く中近東・エジプトにある
「鳩の塔」、一万羽もの鳩が営巣するという。
肥料のための糞や、食料としての鳩・卵を得る
建造物で、古代人の知恵を伝えるローテクの
記念碑的な価値もあるという。
鳩の帰巣について、ノアの箱舟にオリーブの枝
をくわえて戻ってきた、と聖書に記される。

昼は外界を飛び回っても、夜には
巣のある塔に戻ってきて眠る鳥たち。
人は空っぽの塔(建物)だけ準備。
この営みから、神の宮のイメージが
生まれたのだろうか?ふと夢想する。
あるいは祖霊の墓、あるいは神棚、
あるいは神の依り代(神木)。
季節を告げる渡り鳥、
塔に営巣する鳩、
その翼。
魂。

旅立っても回帰する、
見えなくても再来する、
祖霊、そして芽吹きの季節。
翼もつ鳥のように訪れるもの。

エゼキエル書13章18節
「手の節に呪縛の組紐をつけ、諸々の頭に合う呪祓の被り物(ミスパホート 散らすを表すサパーフから)を作り被らせる」巫女
「鳥を捕らえるごとく魂をとる」儀礼を行う者

旅立っても「この地に」回帰する、
見えなくても「この地に」再来する、
祖霊そして芽吹きの季節。
翼もつ鳥のように「ここを」訪れるもの。

ホームグランドの意識が底流にあるのでは。

セイレーンの歌声は、
望郷、常世への憧れ、異界の呼び声。
再び巡る芽吹きと生命の季節への渇望。
嘆きと祈り。

中近東の舞踏を検索したら、
ベリーダンスが出てきた。
手の節に組紐、頭に被り物、
豊穣女神の巫女が舞うイメージ?
「鳥を捕らえるごとく魂を捕らえる」
古代の祭事で奉納された
魅惑的な舞い?

ベリーダンス – Wikipedia


(2020.11.12 Twitter より)

日本神話なら、
アメノウズメの天岩戸開きの踊り?

(2020.11.14 Twitter より)


雨の木 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


異界の鳥


宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」
「八、鳥を捕る人」の章、
ふと読み返してみた。
賢治の描くイメージって、
何から何まで神話的で深いのに、
何にも囚われていなくて透明で、
ため息が出る。

ぞくっとするほど怖いのに、
ほんわか素朴で甘い。

鳥を捕る人=魂を捕る人
ユーモラスそしてシリアス……

宮沢賢治 銀河鉄道の夜 (aozora.gr.jp)
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治 青空文庫リンク


小倉百人一首より
中納言家持(6番)
『新古今集』冬・620

かささぎの
渡せる橋に
おく霜の
白きを見れば
夜ぞ更けにける

二疋の大きな白い鳥が
鋭くかなしく啼きかはしながら
しめつた朝の日光を飛んでゐる
それはわたくしのいもうとだ
死んだわたくしのいもうとだ
兄が来たのであんなにかなしく啼いてゐる
  (それは一応はまちがひだけれども
   まつたくまちがひとは言はれない)

いま鳥は二羽 かゞやいて白くひるがへり
むかふの湿地 青い蘆のなかに降りる
降りようとしてまたのぼる
(日本武尊の新らしい御陵の前に
 おきさきたちがうちふして嘆き
 そこからたまたま千鳥が飛べば
 それを尊のみたまとおもひ
 蘆に足をも傷つけながら
 海べをしたつて行かれたのだ)

宮沢賢治「春と修羅」より
「白い鳥」
(一九二三、六、四)

宮沢賢治 『春と修羅』 (aozora.gr.jp)


(2020.11.11 Twitter より)

吉本隆明の講演を聴いた記憶。
「日本人にとっての異界(あの世)は、
海の彼方や山上にあり、鳥は異界と往来する」
そんな内容だった。
ヤマトタケル伝説や賢治の詩に登場する白い鳥は、
異界へ旅立った魂として、残された者の前にひととき現れる。
東日本大震災の後には、虫や鳥が異界の使者になった。

(2020.11.12 Twitter より)

鳥を捕らえるごとく魂を


Seirazein 「紐で縛る」「干上がる」 セイレーンの語源として有力らしい言葉なのだけれど、 ちょっとネット検索してもよくわからない。
「セイレーンの語源として有力」という記事はたくさんあるけど……
何故「紐で縛る」「干上がる」が元来の意味で、セイレーンに繋がるのか。
(2019.4.6 Twitter より)

巫女 – Wikipedia

エゼキエル書13章18節に、「手の節に呪縛の組紐をつけ、諸々の頭に合う呪祓の被り物(ミスパホート 散らすを表すサパーフから)を作り被らせる」巫女が罵倒されている。組紐(占い紐 あるいは枕)と訳されるケサトートが、「縛る」を表すカシートの派生語であり、「鳥[注 4]を捕らえるごとく魂をとる」と表現されているので、そのような儀礼を行う者であったらしい。

Wikipedia「巫女」の項より。以下は、鳥 [注 4]

4.^ 13章20節の新共同訳。ただし、岩波委員会訳聖書の『エゼキエル書』[11]では、この原語「ポーレホート」(パーラハ、の女性複数分詞形。ただし、パーラハは「芽吹く」の意であるが、諸翻訳家はこれから出た語説を取らない)の、旧来の「p ーrー h」(飛ぶ、走る)の派生語とし「鳥」とする訳が、後の文と合わない無理訳であるとしてアッカド語の「パラーウ」(切り刻む)からの派生語とし「魂を切り刻む 女の妖怪のような者」を巫女の崇拝するものと想定して訳している。

たまたまWikipedia「巫女」の項を読んでいたら、縛る・鳥などのキーワードが出てきて、大注目。
以前にそのままにしていたセイレーンの語源「縛る・干上がる」?について思い出したので、メモ。
(2020.11.7 Twitter より)

「巫女の組紐」そういえば、
劇場アニメ「君の名は。」の
キーアイテムだった……メモ。
(2020.11.9 Twitter より)

うろ覚えだが、大野晋氏の「日本語の源流を求めて」(岩波新書)で、南インドの新年行事の歌と、日本の東北に伝わる小正月の鳥追い歌とが非常に似ている、という指摘があった。本が手元にないので確認できない、たしか「白いもの、甘いもの」といった小豆粥にまつわる歌で囃子言葉まで似ているという。
その鳥追い歌では、たしかカラスに呼びかけて小豆粥を食べるように誘う内容だったと記憶。追い払う歌とは真逆の発想なのだが、案外と「鳥に餌を食べさせようとする」歌のほうが原初の起源に近いのでは……という気がする。
(2018.12.9 Twitter より)

無音のサイレントと警報などのサイレンはどうして言葉が似てる?… – Yahoo!知恵袋

意外に深いサイレント・サイレンの語源同一説。
歌えなくなった精霊達が、怪物にされ
歌うことを強要されたのがセイレーン
という説がヤフ―知恵袋にあった。

精霊たちの沈黙からサイレンス。
セイレーンの歌に惑うと、船が難破する
から警告の意味を持つサイレンの語が。

あ、アンデルセンの人魚姫も
美しい歌声を持っていたけど、
魔女にその声を奪われたっけ。
もしかして、
セイレーンのイメージが
下敷きだったのか……
気づかなかった……

アンティーク・ジュエリー – Wikipedia

Wikipedia「アンティーク・ジュエリー」の項。
(組紐を身に着けて舞う巫女のイメージを追う……)

芽吹きの季節と鳥の飛来。
バビロニアの豊穣女神が、
ペルセフォネ神話の源流?

雨期(冬)と乾季(夏)の気候リズムで、
春(乾季)の始まりを告げる花(アネモネ=風の花)
そして鳥の飛来。
豊穣女神は南風の女神。
干上がる(乾季)風の翼を持つ女神ニンリル(リリス)
のイメージがセイレンに?
(2020.11.9 Twitter より)


雨の木 – ぶるーまーぶる (fairy-scope.com)


シリウス

ふと目にした英詩の翻訳で、
土用(ドッグデイ)とルビがふってあった。
大犬座のシリウスにまつわる表現かと
検索したら、やはりそう。
古代エジプトでは
新年=夏の雨期を告げる目印が、
「日の出とともに東の空で輝くシリウス」
だった。
シリウスは女神イシスの名で呼ばれ、
この女神の古名はアセトとも。

古代エジプトでオシリスとイシスは、
ウシルとアセトと呼ばれていた、と
どこかで読んだ。
日本では土用は丑の日と呼ばれるが、
ウシルと語感が少し似ている。
インドの古典リグ・ヴェーダでは、
暁の女神をウシャスと呼ぶ。
季節を区切り明け初める東の空は、
古来、生活サイクルや行事の大切な起点だった。


          (2019.1.27 Twitter より)

みかん姫


「天の海に 雲の波たち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ」 
                     柿本人麻呂

素朴で雄大で千年以上の時間をとびこえてしまう、万葉集の時代の歌はいいなぁ……
          (2018.12.17 Twitter より)


みかんや猫の日本のわらべ歌を探してるけど、ぴったりこれだ、って思い浮かばない。
検索してもあまり出ない……お正月さんござった、の歌に柑橘類が登場する。
年神さまと蜜柑、しめ縄かぁ。
ハニワくんの時代、日本にみかんはあったかな?
猫はどうやらいたらしい。
瓜子姫はいるけど蜜柑姫はいない?

橙(だいだい)=橘(たちばな)の実なら古来から伝承がある。
ひな祭りの段飾りに桃の花、橘の実。
オトタチバナヒメは、ヤマトタケルの妻。
古事記に記載された異国(異界)の果実トキジクノカクノコノミは、
柑橘類だろうか(オレンジは花と実を同時につける常世の島の実)
かぐや姫のときじくの枝。
※訂正。
橙(あへたちばな)の実は大きく、橘(たちばな)の実は小さく、別のもの。トキジクノカクノコノミは、万葉集でも詠われており、橘のことだ、と。


だいだい
だいだらぼっち
と語感が似ている。
何故だいだい
って
いうのだろう?

影ふみ遊び、鬼ごっこ。
だいだらぼっち、山父、
カガセオ、オリオン。
相撲のポーズ、一本足の大男、案山子。
相撲に勝つと味方になってくれる旅の同伴者(聖書)

相撲に勝った貧乏神。
貧乏神が福の神に。年の瀬→新年。
たちばな、だいだい。
十二支にいない猫(獅子)
獅子舞、鳥追い。
田の神。
          (2018.12.18 Twitter より)

@urikohimefukyuu 『瓜子姫の死と生』発売中 様
御教示ありがとうございます。
「からたち姫」は日本の民話でしょうか、チベットにミカン姫の伝承があるのでしょうか。
これから調べて参考にさせて頂きます。まさかこんな呟きメモにコメントがつくとは思いもかけず、良いアドバイスに驚き、感謝申し上げます。

Twitter ありがたや。
「日本にはミカン姫はいないの?」と呟いたら、
「からたち姫がいますよ、チベットにはミカン姫が」
と、天からのお告げが……☆彡
チベットのミカン姫は、「三つのみかん」としてユーラシアに広く分布する類話のひとつらしい。
からたち姫は、青森県。
http://minwa.fujipan.co.jp/area/aomori_025/

瓜子姫、からたち姫、どちらの物語にも鳥が重要な役割を果たしている。
          (2018.12.19 Twitter より)

@urikohimefukyuu 『瓜子姫の死と生』発売中 様
御教示ありがとうございます。3つのオレンジが瓜子姫の起源になったかもしれないという御説、とても心惹かれます。御著書の御紹介、ありがとうございます。
ギリシア神話アタランテーの3つのりんごとも似ていますね。黄金のりんご≒オレンジという説もあるそうです。

@urikohimefukyuu 専門の研究者様から直接にコメントを頂けて、とても嬉しく、心より感謝申し上げます。
(私はアマチュアの神話好きが嵩じて、物語を夢想するのが常です。戯れに新しい物語を書くためイメージを拾おうとしておりました)
タイムライン拝読致しました。
絵師さま達の瓜子姫のイラスト、可愛いですね。
          (2018.12.20 Twitter より)

なぜだか幼い日に呼んだ「おやゆび姫」の絵物語をしきりに思い出す。
葉っぱに乗って水に浮かんだり、ツバメを助けて王子様の花園に乗せて行ってもらったり……流しビナとか春に飛来する鳥とか、なんだかイメージ的に深いような気がしてきた。
チューリップの花、かぁ。あの円筒形っぽい形が、瓜っぽい。
          (2019.1.9 Twitter より)

春待つ冬は、みかんの季節だね……
          (2019.1.12 Twitter より)