
美知乃倍乃
宇万良能宇礼尓
波保麻米乃
可良麻流伎美乎
波可礼加由加牟
道の辺(へ)の、
茨(うまら)のうれに、
延(は)ほ豆(まめ)の、
からまる君(きみ)を、
はかれか行かむ
丈部鳥(はせつかべのとり)
万葉集 第二十巻:4352
たのしい万葉集(4352): 道の辺の茨のうれに延ほ豆の (art-tags.net)
妻との別れを惜しむ防人の歌
( 2024.11.10 イラスト作成 Bing Image Creator )
からまる君を – レモン水
ときどきクリア希求
美知乃倍乃
宇万良能宇礼尓
波保麻米乃
可良麻流伎美乎
波可礼加由加牟
道の辺(へ)の、
茨(うまら)のうれに、
延(は)ほ豆(まめ)の、
からまる君(きみ)を、
はかれか行かむ
丈部鳥(はせつかべのとり)
万葉集 第二十巻:4352
たのしい万葉集(4352): 道の辺の茨のうれに延ほ豆の (art-tags.net)
妻との別れを惜しむ防人の歌
( 2024.11.10 イラスト作成 Bing Image Creator )
からまる君を – レモン水
しなやかに風になびく豆科の花。
公園に自生する野草だと
ずっと思っていたのだが、
しだれ咲く豊かな風情に惹かれて
写真を撮り、画像検索してみたら
かの有名な「萩」だった……
(なぜ今まで知らなかったのか?)
安伎波疑尓 々保敝流和我母 奴礼奴等母 伎美我美布祢能 都奈之等理弖婆
秋萩に
にほへる我が裳
濡れぬとも
君が御船の
綱し取りてば
あきはぎに
にほへるわがも
ぬれぬとも
きみがみふねの
つなしとりてば
阿倍継麻呂
( 万葉集 第15巻 3656番歌 )
七夕仰觀天漢各陳所思作歌三首
遣新羅使、天平8年、年紀、作者:阿倍継麻呂、羈旅、七夕、織女、女歌、宴席、福岡
万葉集 第15巻 3656番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ
秋萩の花のように装った裳が
濡れてしまおうと(かまわない)
貴方の御舟のとも綱を
手にとれるのならば……
秋といへば
空すむ月を
契りおきて
光まちとる
萩の下露
藤原定家
( 拾遺愚草 巻上:花月百首 月 )
和歌データベース
月光に照らされる萩の葉の露。
滝のように枝垂れて光る露は、
秋の天の川をイメージさせる。
「空すむ月を契りおきて」
約束の夜に半月の舟で訪れるという
彦星を待ちわびた織り姫の裳が、
天の川の雫で濡れて光るかのように。
「光まちとる」萩の露の表現には、
「君が御船の綱し取りてば」という
七夕伝説を詠んだ先行作品を踏まえ、
さらに象徴化した月光の美しさが
込められているのではないか。
澄みわたる天地の情景が浮かぶ。
からまる君を – レモン水
綱し取りてば(Bing Image Creator) – レモン水
赤玉は
緒さへ光れど
白玉(しらたま)の
君が装(よそ)ひし
貴(たふと)くありけり
阿加陀麻波
袁佐閉比迦礼杼
斯良多麻能
岐美何余曽比斯
多布斗久阿理祁理
( 古事記 712年 上巻・歌謡 )
古事記の山幸彦の物語で、
海神の娘トヨタマヒメが
詠んだとされる相聞歌。
赤玉(レッドジャスパーまたは
赤珊瑚などの宝玉?)は
玉の緒さえ光って美しいが、
山幸彦の装っていた白玉(真珠)は
尊くて忘れがたい、という。
海と陸とで隔たりがあっても、
変わらぬ想いを夫へと送った
海神の姫君の、豊かな神話性に
彩られた慕情の歌。
(元来は海辺の民の歌謡だろうか?)
古事記の成立より150年以上も後に
活躍した平安初期の歌人、藤原敏行は
以下のように白露を詠んでいる。
白露の
色はひとつを
いかにして
秋の木の葉を
ちぢに染むらん
( 藤原敏行、古今和歌集257番 巻五 秋下 )
透きとおった白露(白玉)の魔法で、
様々な色合いの紅葉をもたらすのは、
竜田姫と呼ばれた秋の女神。
竜田姫は、季節風と染物の女神でもある。
竜田姫 – Wikipedia
白玉と
見えし涙も
年ふれば
唐紅に
うつろひにけり
( 紀貫之、古今和歌集599番 巻十二 恋二 )
平安初期~中期の歌人で、
古今和歌集の編纂者として有名な
紀貫之の「白玉の歌」は、
白玉(真珠)と涙とを重ね、
唐紅(人生の秋に流す血の涙=辛い恋)
のイメージへと移ろわせている。
古事記のトヨタマヒメの赤玉白玉の歌や、
能書家で知られた藤原敏行の歌など、
素朴で美しい先行作品を踏まえ、
哀感を漂わせた巧みな表現で
さらりと大人の恋を描いてみせたのか。
古今和歌集の仮名序で
後世に名を残した紀貫之の
教養の深さ、文学性の高さにいつも驚く。
「やまとうたは、人の心を種として、
よろづの言の葉とぞなれりける」
平易に和歌の奥深さを伝える名文だと
あらためて思う。
( 2024.7.4 イラスト作成 Bing Image Creator )