昨日見し恋忘れ貝(Bing Image Creator)


住吉尓 徃云道尓 昨日見之 戀忘貝 事二四有家里

住吉に
行くといふ道に
昨日見し
恋忘れ貝
言にしありけり

すみのえに
ゆくといふみちに
きのふみし
こひわすれがひ
ことにしありけり

作者不詳
( 万葉集 第7巻 1149番歌 )

万葉集 第7巻 1149番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ (manyoshu-japan.com)


住吉に行くという道に
昨日見つけた恋忘れ貝は、
言葉だけなのですね……
(今日になっても恋は忘れられない)

住吉は墨之江(黒い江)つまり
天の川を指す、という説がある。
かなわぬ恋を忘れさせる貝殻は、
二枚貝の片割れ……片方の羽を失い、
彼岸へと渡れない蝶をイメージさせる。

此岸に残された者をなぐさめるという
「恋忘れ貝」だけれども、今なお
想いをつのらせるばかりだ、という
詠み人知らずの嘆きには、海や夜空に
ひびく万葉の詩情が宿っており、
後の時代に七夕伝説が広く流行する
素地が感じられる。


岸におふてふ – あかり窓 (memoru-merumo.com)

住の江の岸に(Bing Image Creator) – レモン水 (ginmuru-meru.com)


( 2024.7.4 イラスト作成 Bing Image Creator +微修正 )


オサナゴコロ


北の地で寒冷地適応した人々は、
時が流れるにつれ南方へと移動、
米作りを開始した、のだとか。
長い目で見れば、人類は困難な
状況に耐え、なんとか続いてる。
(環境に適応し生き延びた者の
子孫=現生人類なのだから)
多様に試行錯誤すれば
多分大体なんとかなる?

試行錯誤
七転八倒
からの
七転び八起き

シリアス顔すれば大人に見える?
それでもオサナゴコロの夢
忘れたくはない……


( 2024.6.4 イラスト作成 Bing Image Creator )


蛇行剣と銅鏡の盾(Bing Image Creator)


蛇行剣と銅鏡の盾?あれアタシの。
磨かれた鏡の反射を背に、
女装した英雄の活躍を演じたわ。
演目は大蛇退治、つまりアタシは
龍蛇を従えた魔導士なの。
この地は藁の龍蛇の野神祭りが盛んよね。
蛇行剣はその豪華版で、鉄の祭器なの。
演目は出雲地方に伝わり、今でも有名。
アタシ?香香背男よ。

なぜ櫛と鏡がアタシの棺の足元に
置かれていたかって?
アタシが女装してオロチ退治したときの
小道具だからよ。で、アタシの場合、
人身御供の悲劇のヒロインは仮の姿、
龍退治するヒーローが真の姿。

アタシの国は、でも奪われてしまった。
太陽を背に金の鳶の弓を掲げた
アイツと、その軍勢に……


アタシの魂は山の巌に宿って、
村人たちから雨乞いされたわ、
今でも折々に思い出されては
物語られているの、
春の種まきや秋の実りの季節、
雷が激しく鳴る頃に。

今日は目が覚めて
道化てしまった、またね……
おやすみ。

( 2024.4.1 Twitter より )
( 2024.4.1 イラスト作成 Bing Image Creator )

 ※アタシ語りはフィクションです。


待ちつつぞ

白鳥能 飛羽山松之 待乍曽
吾戀度 此月比乎

白鳥の
飛羽山松の
待ちつつぞ
我が恋ひわたる
この月ごろを

しらとりの
とばやままつの
まちつつぞ
あがこひわたる
このつきごろを

笠郎女(笠女郎)
(万葉集 巻4-588 大伴家持への贈歌)


かささぎの
渡せる橋に
おく霜の
白きを見れば
夜ぞ更けにける

大伴家持※
(小倉百人一首 6番『新古今集』冬 620)

※この歌は後世の「家持集」に含まれ、
大伴家持の作とされてはいるが、
確定していない。
(奈良時代編纂の万葉集の
大伴家持の歌には含まれない)


平安後期~鎌倉初期の藤原定家が
小倉百人一首を編纂したとき、
この歌を大伴家持の作としたのは、
なぜだろうか?もしかしたら
家持への恋歌を数多く詠んだ
笠郎女の「白鳥の歌」を
イメージの下敷きにしたことも
理由のひとつではなかろうか……
と夢想。
(万葉集で白鳥が歌われるのは、
笠郎女の恋歌を含めわずか二首という)
(平安中期以降、白鳥の姿の「鷺舞」が
祇園祭に採り入れられるなど、
七夕伝説は、京を中心に広まった)


( 2023.12.25 & 2024.3.24  イラスト作成 Bing Image Creator +写真加工 )


白鳥(シラサギ)の舞 – レモン水 (ginmuru-meru.com)

白鳥の鷺坂山の松蔭に – レモン水 (ginmuru-meru.com)


すもうにかった びんぼうがみ


「すもうにかった びんぼうがみ 」
(松谷みよ子 再話、斎藤真成 画、福音館書店 こどものとも1973年1月号、1973.1.1初版発行)

すもうにかった びんぼうがみ|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)

大晦日の民話。
貧しくても心優しい働き者の若夫婦が、
我が家の貧乏神に御馳走を食べさせ、
やってくる福の神との相撲勝負を応援すると?

古来より日本の相撲神事は
新年と七夕とに奉納された。
民話にも
「大晦日から新年への年越しの夜の相撲」
が物語られており、
災い転じて福となす大らかな展開が楽しい。
貧しさから豊かさへ、
闇から光への逆転劇は、
冬から春への季節に応じ
穀物を育んできた農民たちの知恵に
深く根差しているのだろう。


( 2023.12.31 Twitter より )


星空の恵みを地におろす – レモン水 (ginmuru-meru.com)

相撲、伎楽、鷺舞、七夕 – レモン水 (ginmuru-meru.com)