「さうして睡ねむつておいで。布団をたくさんかけてあげるから。さうすれば凍えないんだよ。あしたの朝までカリメラの夢を見ておいで。」 雪わらすは同じとこを何べんもかけて、雪をたくさんこどもの上にかぶせました。まもなく赤い毛布も見えなくなり、あたりとの高さも同じになつてしまひました。 「あのこどもは、ぼくのやつたやどりぎをもつてゐた。」 雪童子はつぶやいて、ちよつと泣くやうにしました。 宮澤賢治『水仙月の四日』 青空文庫より https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1930_9724.html 返信
臘月は旧暦12月、臘日は新旧の年の境目だという。 今年2025年の旧暦での正月朔日は、1月29日。 そして節分2月3日、立春2月4日へと暦はめぐる。 蝋梅(ロウバイ)の名の由来は、 蝋のような花の光沢から、 または臘月に咲く梅に似た花ゆえ、とのこと。 臘月のロウは、新旧の年をつなぐ意味を持ち、 猟でとった年神への捧げ物をも表すという。 雪婆んごがやつてきました。その裂けたやうに紫な口も尖とがつた歯もぼんやり見えました。 「おや、をかしな子がゐるね、さうさう、こつちへとつておしまひ。水仙月すゐせんづきの四日だもの、一人や二人とつたつていゝんだよ。」 宮澤賢治「水仙月の四日」は、そんな 新旧の暦・季節のつなぎ目を描いた童話であり、 描かれた東北の吹雪は美しく恐ろしく、 大自然の躍動感にあふれている。 返信
「さうして睡ねむつておいで。布団をたくさんかけてあげるから。さうすれば凍えないんだよ。あしたの朝までカリメラの夢を見ておいで。」
雪わらすは同じとこを何べんもかけて、雪をたくさんこどもの上にかぶせました。まもなく赤い毛布も見えなくなり、あたりとの高さも同じになつてしまひました。
「あのこどもは、ぼくのやつたやどりぎをもつてゐた。」
雪童子はつぶやいて、ちよつと泣くやうにしました。
宮澤賢治『水仙月の四日』 青空文庫より
https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1930_9724.html
臘月は旧暦12月、臘日は新旧の年の境目だという。
今年2025年の旧暦での正月朔日は、1月29日。
そして節分2月3日、立春2月4日へと暦はめぐる。
蝋梅(ロウバイ)の名の由来は、
蝋のような花の光沢から、
または臘月に咲く梅に似た花ゆえ、とのこと。
臘月のロウは、新旧の年をつなぐ意味を持ち、
猟でとった年神への捧げ物をも表すという。
雪婆んごがやつてきました。その裂けたやうに紫な口も尖とがつた歯もぼんやり見えました。
「おや、をかしな子がゐるね、さうさう、こつちへとつておしまひ。水仙月すゐせんづきの四日だもの、一人や二人とつたつていゝんだよ。」
宮澤賢治「水仙月の四日」は、そんな
新旧の暦・季節のつなぎ目を描いた童話であり、
描かれた東北の吹雪は美しく恐ろしく、
大自然の躍動感にあふれている。