住吉尓 徃云道尓 昨日見之 戀忘貝 事二四有家里
住吉に
行くといふ道に
昨日見し
恋忘れ貝
言にしありけり
すみのえに
ゆくといふみちに
きのふみし
こひわすれがひ
ことにしありけり
作者不詳
( 万葉集 第7巻 1149番歌 )
万葉集 第7巻 1149番歌/作者・原文・時代・歌・訳 | 万葉集ナビ (manyoshu-japan.com)
住吉に行くという道に
昨日見つけた恋忘れ貝は、
言葉だけなのですね……
(今日になっても恋は忘れられない)
住吉は墨之江(黒い江)つまり
天の川を指す、という説がある。
かなわぬ恋を忘れさせる貝殻は、
二枚貝の片割れ……片方の羽を失い、
彼岸へと渡れない蝶をイメージさせる。
此岸に残された者をなぐさめるという
「恋忘れ貝」だけれども、今なお
想いをつのらせるばかりだ、という
詠み人知らずの嘆きには、海や夜空に
ひびく万葉の詩情が宿っており、
後の時代に七夕伝説が広く流行する
素地が感じられる。
岸におふてふ – あかり窓 (memoru-merumo.com)
住の江の岸に(Bing Image Creator) – レモン水 (ginmuru-meru.com)
( 2024.7.4 イラスト作成 Bing Image Creator +微修正 )