天の原(Bing Image Creator)


天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出(い)でし月かも
            阿倍仲麿

( 小倉百人一首(7番)『古今集』羇旅・406 )

哭晁卿衡
   李白
(全唐詩·卷184)

日本晁卿辭帝都
征帆一片繞蓬壺
明月不歸沈碧海
白雲愁色滿蒼梧

(書き下し文)
日本の晁卿(ちょうけい)帝都を辞し
征帆一片(せいはんいっぺん)蓬壷(ほうこ)を遶(めぐ)る
明月は帰らず碧海(へきかい)に沈み
白雲愁色蒼梧(そうご)に満つ

(通訳)
日本の晁衡卿は帝都長安を離れ
帆を張った舟は蓬莱の島々をめぐって行った。
明月のような君は青い海に沈んで帰らず
白雲がうかび、愁いが蒼梧に満ちている。

>益久島(現在の屋久島)に向けて出帆した4隻のうち、仲麻呂や清河の乗船した第1船が暴風に遭って南方へ漂流した。彼が落命したという噂を伝え聞いた李白は「明月不歸沈碧海」の七言絶句「哭晁卿衡」を詠んで仲麻呂を悼んだ。しかし、仲麻呂が乗船していた第1船は、以前平群広成らが流されたのとほぼ同じ漂流ルートをたどり、幸いにも安南に漂着していた。


李白:哭晁卿衡 – Web漢文大系 (kanbun.info)

阿倍仲麻呂 – Wikipedia より引用


( 2024.4.5 イラスト作成 Bing Image Creator +加工 )


蛇行剣と銅鏡の盾(Bing Image Creator)


蛇行剣と銅鏡の盾?あれアタシの。
磨かれた鏡の反射を背に、
女装した英雄の活躍を演じたわ。
演目は大蛇退治、つまりアタシは
龍蛇を従えた魔導士なの。
この地は藁の龍蛇の野神祭りが盛んよね。
蛇行剣はその豪華版で、鉄の祭器なの。
演目は出雲地方に伝わり、今でも有名。
アタシ?香香背男よ。

なぜ櫛と鏡がアタシの棺の足元に
置かれていたかって?
アタシが女装してオロチ退治したときの
小道具だからよ。で、アタシの場合、
人身御供の悲劇のヒロインは仮の姿、
龍退治するヒーローが真の姿。

アタシの国は、でも奪われてしまった。
太陽を背に金の鳶の弓を掲げた
アイツと、その軍勢に……


アタシの魂は山の巌に宿って、
村人たちから雨乞いされたわ、
今でも折々に思い出されては
物語られているの、
春の種まきや秋の実りの季節、
雷が激しく鳴る頃に。

今日は目が覚めて
道化てしまった、またね……
おやすみ。

( 2024.4.1 Twitter より )
( 2024.4.1 イラスト作成 Bing Image Creator )

 ※アタシ語りはフィクションです。