赤目のカエル

ホオズキのような赤目のカエル。
ホオズキのような赤い満月が東の空に。
古池に映る月影、金の毬。
カエルは金の毬を拾おうと
水に飛び込む。

朝咲いて夕べにしおれるワスレグサ。
月光を知らない花の精が、
もし金の毬を
とってきてくれたら夢の中でも
ずっと遊べるのに、と
赤目のカエルに微笑んだから。


わが屋戸の
軒のしだ草
生ひたれど
恋忘草見れど
いまだ生ひなく

我屋戸 甍子太草 雖生 戀忘草 見未生
『万葉集』巻十一2475 
作者不詳(柿本人麻呂歌集より)

古池に幾度もぐっても
金の月光の毬は拾えず、
一日だけ美しく咲いた
ワスレグサの花はしおれ、
シダばかり生い茂る。
すべて忘れさせてくれる
あの笑顔、あの少女には
もう会うことが出来ない……
(by 赤目のカエル)

また会えたらいいのにね……


( 2022.8.18 Twitter より )

ワスレグサ – レモン水 (ginmuru-meru.com)