宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」
「八、鳥を捕る人」の章、
ふと読み返してみた。
賢治の描くイメージって、
何から何まで神話的で深いのに、
何にも囚われていなくて透明で、
ため息が出る。
ぞくっとするほど怖いのに、
ほんわか素朴で甘い。
鳥を捕る人=魂を捕る人
ユーモラスそしてシリアス……
宮沢賢治 銀河鉄道の夜 (aozora.gr.jp)
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治 青空文庫リンク
小倉百人一首より
中納言家持(6番)
『新古今集』冬・620
かささぎの
渡せる橋に
おく霜の
白きを見れば
夜ぞ更けにける
二疋の大きな白い鳥が
鋭くかなしく啼きかはしながら
しめつた朝の日光を飛んでゐる
それはわたくしのいもうとだ
死んだわたくしのいもうとだ
兄が来たのであんなにかなしく啼いてゐる
(それは一応はまちがひだけれども
まつたくまちがひとは言はれない)
いま鳥は二羽 かゞやいて白くひるがへり
むかふの湿地 青い蘆のなかに降りる
降りようとしてまたのぼる
(日本武尊の新らしい御陵の前に
おきさきたちがうちふして嘆き
そこからたまたま千鳥が飛べば
それを尊のみたまとおもひ
蘆に足をも傷つけながら
海べをしたつて行かれたのだ)
宮沢賢治「春と修羅」より
「白い鳥」
(一九二三、六、四)
宮沢賢治 『春と修羅』 (aozora.gr.jp)
(2020.11.11 Twitter より)
吉本隆明の講演を聴いた記憶。
「日本人にとっての異界(あの世)は、
海の彼方や山上にあり、鳥は異界と往来する」
そんな内容だった。
ヤマトタケル伝説や賢治の詩に登場する白い鳥は、
異界へ旅立った魂として、残された者の前にひととき現れる。
東日本大震災の後には、虫や鳥が異界の使者になった。
(2020.11.12 Twitter より)